2009年03月04日

氷の種

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                                氷の中でも咲いている

                                垂れた首から
                                こぼれてしまう鮮やかな色を
                                これ以上落とさぬようにと
                                雪と一緒につかんでいる


                                ちりちりと燃えている
                                一面の灰白色の中で
                                愛らしいものの存在の種を
                                あなたの想い出に飛ばしている


 

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2009年01月18日

機嫌を直したら

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                                   機嫌を直したら
                                   どこか遠くに行こう


                                   きみの
                                   子供っぽさは好きだけれど
                                   それが理由で
                                   嫌いにもなれる



 

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2009年01月07日

立たされて

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                                 動けないまま望遠鏡は
                                 彼方に広がる雲と空を
                                 きみの網膜にリンクさせる


                                 動かないまま望遠鏡は
                                 朝焼けの寂しさも
                                 夜更けの恐怖も
                                 たったひとりで見続けている


                                 許されていない罰のために
                                 立たされて

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2008年12月04日

冷たい牛乳

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                                 鳥の形が刻印されたグラスに
                                 冷たい牛乳を注ぐ


                                 忙しくて
                                 遅い朝食になってしまった


                                 透明な羽を見つめていたら
                                 鳥がコツコツとグラスをつついて
                                 白い液体をはやく飲み干せと
                                 せかし始めた


                                 冬の光はよく伸びて
                                 わたしはもう少し
                                 この時間を楽しんでいたい







                
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2008年10月26日

ワット40

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                                   切れた電球に
                                   他者を映し出す力はもう無い


                                   丸くて白い
                                   そのかたまりにさえ寿命はあるのだと
                                   手であたためながら思う


                                   捨てる前に油性ペンで
                                   イタズラ描き


                                   んー
                                   なぜいつも 
                                   悲しい顔になってしまうの



               

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2008年10月13日

鳥になる前に

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                                  きのう描いた橋を
                                  きょうは消して孤島にする


                                  風の来訪 月の歌語り
                                  波の侵略 貝の帰館


                                  寂しそうに見える島を描いても
                                  観る人によっては賑やかに感じる

                                  宿るための木を 一番いい場所に描こう
                                  きみが渡り鳥になってしまう前に





                

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2008年09月02日

ダージリンで

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                                黙っていたら
                                ニュートラルポジションに
                                戻ってしまうキミは
                                ボクに合わせてくれていたんだね


                                ダージリンの いい香りがする


                                ボクの偏りは
                                自分でも手に負えなくて困っているよ


                                ダージリンで よかった?




               


 

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2008年07月30日

8月のはじまり

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                                       鍵盤から
                                       こぼれ落ちた西日は

                                       時間の約束を守りながら
                                       けだるい音律で
                                       さらされた肌を鎮火させる


                                       それを
                                       夏の夕べ と名付けたい

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2008年06月30日

止まっている

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                                    何を見ても動かない
                                    写真だけは撮っている


                                    時を止めたいから
                                    撮るのかもしれない


                                    見ていたことを
                                    無理矢理ここに貼り付けて



                 

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2008年06月12日

ひかり と わたし

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                            ひかりが
                            うつわのそこで 昇華する
                            がらすのふちで はじけ散る


                            ひかりを
                            肯定するために めをとじる
                            わたされた 残像を奥歯であじわう


                            同期されて みたされる

                            ひかりとわたし




 

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2008年05月13日

過去が強すぎる

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                                明日あたり呑み込まれて
                                もう 
                                言葉なんて使えない一匹の稚魚に
                                なってしまうのではないかと
                                思う夜がある


                                引き潮の強さにも似て
                                過去は足元から
                                いつでも私をさらおうとしており


                                逆らいたくない私が
                                明日に存在する



                                      

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2008年04月24日

今日ね 私

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                      無理なこと 解っていても
                      言葉を使って伝えたい

                      雨の街に今日ね 私 
                      若い葉が雨と戦っているのを見たの
                      硝子の上を歩くのが怖くて私だけ停まったの
                      本を2冊買ったの

                      それだけだけれど
                      私 
                      ちゃんと生きていたでしょう




                   
                        


 

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2008年03月28日

夜を呑む

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                             夜を呑む
                             独りが反射する硝子テーブルに
                             河原で拾った石を並べながら

                             「私は少し自分のことを書き過ぎた?」
                             石の並びを変えながら
                             訊いてみる

                             どの石も答えない
                             何億年も逆らわず受態であるから生きられた
                             そんなそぶりを見せるだけ



                 

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2008年03月07日

森のつぼみ

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                                      木々の心臓 
                                      羊歯の雑音

                                      葉脈のさえずり
                                      雨のたしなみ

                                      はじかれて朝露
                                      こぼれおちて蟻の拡がり

                                      咲くまでは護られる
                                      咲いてからは汚れる




                           
                        

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2008年02月12日

チョコレートの安置所

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                                         思い切り背をのばして
                                         あの高い窓に置く

                                         それから逃げる




                        

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2008年01月27日

『ぼくになることを』

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                          「小さな頃に親から聞かされた
                          頭の中にある小さな宝石のこと

                          いつかぼくの肉体が壊れても
                          バックアップ用にそれがあるからと

                          小さな宝石は そのために
                          毎秒ぼくになることを学んでいる」

                          先週からパソコンの調子がよくない
                          バックアップのことを考えるたびに
                          グレッグ・イーガンの著書を思い出す
                          昔読んだその本は
                          私の手元には無いけれど
                          ぼくになることを学ぶ 
                          頭の中の小さな石を「宝石」と呼んだ
                          そんな本を確かに読んだ




                         

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←えっとぉ。ここね。 ここで黒背景の詩を書いています。
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